ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

民さんは野菊のような人だ

伊藤左千夫の『野菊の墓』を読んだ

何度か映画化されているが観たことはない

タイトルからしてどんな物語であろうかは想像がついていたが、興味を感じたことはなかった

そもそも悲しい物語なんかごめんだ

 

しかし俺ももう50代半ば

こういう古典的名作を、趣味や興味を超えて読んでおくのも悪くはあるまい

漱石も激賞したというじゃないか

なに、短いものだからすぐ読めるさ

と、そんな訳で朝早くから取り掛かる(基本的に俺の読書の時間は朝だ)

 

15歳の政夫と17歳の民子との淡く悲しい恋の話
意に染まぬ結婚を強いられ、嫁ぎ先での暮らしも厳しいもので、挙げ句は流産がもとで死んでしまう民子
かたや民子の結婚も知らず、その後の生活も妊娠も流産も知らず、死んだ事さえ知らなかった政夫
あの楽しかった時間はもう戻らない
 

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明治時代の作品である

今では考えられないような時代背景

古臭い言いまわしや作者の出身地(千葉県山武市)の方言的言葉も多い

もう大半の小中学生には鑑賞不可能かもしれない

 

いや、無理に読ませる必要もないだろう

こんなストーリーはもう消費し尽くされている

第一、この状況の理不尽さには、悲しみより怒りの方が先立つのではないのか

 

実際こんなお涙頂戴の小説に苛立って、俺は朝っぱらからモヤモヤのしっぱなしだ

だって民ちゃん、悲しすぎるじゃないか

これから仕事だってのに泣きそうだよ、どうしてくれるんだ