今月6日に細野晴臣先生の『Hochono House(ホチョノハウス)』が発売となった
俺はつい先日、手に入れたばかりだ
息子の受験合格の「願掛け」で、そういった欲望を遠ざけていたから発売日には買わなかったのだ
さて『Hochono House』、名作の誉れ高い1973年の『Hosono House』の再録音である
アレンジは、約20年振りだという打ち込みによるエレクトロ風味が随所に顔を出し、オリジナルにあったアメリカ的なものがやや後退して、かつて高橋幸宏とやっていたスケッチ・ショー*1の雰囲気がある
曲順はオリジナルと正反対の配列で、かつての1曲目「ろっかばいまいべいびい」を最後に持ってきたかったから、だそうだ
訥々としたヴォーカルは、坂本龍一謂うところの「作曲家の声」で、音程を外すわけじゃないけど上手く聴こえない、という味わいが良い
でも随分ヴォーカリストっぽい歌い方になったものだなぁ、と感じた
いや、ここ10年くらいの変化として何となく思っていたけど(大胆にも俺、上から言っちゃったな)
ジャケットは、『Hosono House』を元にしているようだけど、オリジナルには無いタバコをわざわざ咥えさせているのは、何か意味があるのだろうか
だって今、五月蠅いでしょ、それ…
俺、実は『Hosono House』よりは所謂「トロピカル三部作」*2を愛聴していたクチで、今回の新録で改めて旧作を聴き返したような感じだ
それでも「ろっか・ばい・まい・べいびい」、「恋は桃色」、「薔薇と野獣」なんかは好きで聴く機会も多かったけど
とりわけ「恋は桃色」は、何気なく始まる前奏と歌の後、0:14に入ってくるスティール・ギターで急に視界が開けてくる感じが、物凄く好き
これと似た感じなのが、ムソルグスキー『展覧会の絵』冒頭の「第1プロムナード」
有名なテーマが薄い感じで始まり、繰り返す時に和音が加わって厚みを増して広がっていく、ラヴェル編曲のオーケストラ
何でまたソロデビュー・アルバムの新録なのか
10年近く前から、作り直したいとの発言はあった*3
CDには自作解説文があって、70年代の音楽を現在に移植して過去の自分と向き合う事を意図したのだ、と
ただ、細野先生は1969年にエイプリル・フールというバンドでデビューして、今年で50周年を迎える
だから50周年記念というのでキリが良かったということかな、たぶん…
そういえば当時1970年頃、先日亡くなった内田裕也との「日本語ロック論争」というのが日本ロック史的には有名だ
でも実は両者激論を交わしたという訳じゃなく、ただ何となくそう呼ばれてるだけらしい
それに細野先生、激しく自己主張するタイプじゃなさそうだし
同じ頃、細野先生、内田裕也氏との対談に1時間位遅刻した
内田は遅れてきた細野が穿いていた半ズボンを見て「半ズボンかよ」と開口一番、遅刻のことについては触れずに突っ込んだ
その時、細野は心の中で「そこ(半ズボン)かよ」と思ったらしい*4
最近知った細野発言で笑ったのがある
昔、レコーディングしていたスタジオに山下達郎がふらりと現れた
でもジ~っとレコーデングの様子を見て、言葉少なに帰って行ったという
山下達郎と細野の付き合いは古く、細野の盟友・大瀧詠一と山下の密な繋がりもあるし、山下は細野のベースは日本一だと公言している位なのだが、細野が言うには、山下とあんまり喋ったことがないという
そこで細野先生がポツリと「彼、あんなにお喋りなのに」*5
取りとめがないね、終わりましょう
(敬称略)