先日『Time Remembered』を観てきた
これはジャズピアニスト、ビル・エヴァンスのドキュメンタリー映画だ
生誕90周年記念公開となっていて、「公開」って何よ、と思ったら、アメリカで2015年に制作されたものだったのね
実を言うと、ビル・エヴァンスに関しては全盛期である1960年前後のものしか聴いていないし、彼の人生に起こった様々な出来事も知らなかった訳じゃないけども、そんなに詳しくはない
でもビル・エヴァンスという人と音楽に興味があれば楽しめる内容だった
薬物中毒、相棒のスコット・ラファロという伝説的ベーシストの事故死、内縁の妻と最愛の兄の自殺など、すべてに同情できるわけではないが、観ていて何だか切なくなった
それは彼の音楽そのものの影響があるんだろうけども
さっき「全盛期の1960年前後」なんて書いたが、それはビル・エヴァンスのピークがそこであったという意味ではない
おそらくジャズ人気の全盛期がその辺りだったので、どうしてもその頃に名盤とされる作品が集まっている印象になる
だから俺もその頃のしか聴いたことがない訳だけど、それ以降も仲々面白そうな作品を発表しているようだから、今後ゆっくりと聴いていきたいと思っている
サイモン&ガーファンクルに「アメリカ」という1968年の超名曲がある
ヒッチハイクで「アメリカ」を探しにきたポール・サイモンの分身と思しき青年が、その旅の途中で(たぶん)知り合った女の子とのエピソードを歌っているものだ
彼は彼女に恋人になろうと持ちかけ、一緒に旅を続ける
バスに乗ったふたりは車中で冗談を飛ばし合い、大いに盛り上がる
しかし夜になって、彼女が寝ているのを知りながら、自分は虚しさや痛みを抱えていて、どうすればいいのか分からないんだ、と呟く
Simon & Garfunkel - America (Audio)
と、こんな歌詞で、初めて聴いた20代前半だった当時の俺の気分にピッタリだったワケよ
ああ、それもまた青春の終わりに抱える精神的危機だったんだな〜
それはともかく、この名曲をデヴィッド・ボウイがカヴァーしてる
あの9.11のあとのニューヨークで行われたチャリティライヴで
変なアレンジだなと思ってたが、伴奏はポータブルキーボードみたいなものだけだったらしい
どういう意図があったのか
そしてこれは最近知ったのだが、なんと、かのプログレバンド、イエスが1971年にカヴァーしてシングル発売されているのだ
現在では『こわれもの』と『危機』のボーナストラックとしてそれぞれ10分と4分のヴァージョンが収録されている
Yes - America (Single Version)
これは完全にイエスっぽさ炸裂のプログレアレンジで激しく演奏され、歌詞と主旋律が辛うじて残っているというシロモノ
面白いっちゃ面白いけど何だかそぐわないし、カヴァーした意図がサッパリ分からない
デヴィッド・ボウイの方は何となく分かるけど、イエスは何故「アメリカ」をカヴァーすることになったのだろうか
先日6月6日、ドクター・ジョンが亡くなった、享年77歳
とか言って、こちらも全然詳しくなくて、昔のアルバムをちょっと聴いたことがある程度だが…
その訃報を受けて、ミック・ジャガーやキース・リチャーズがコメントを出していたけど、そんなミュージシャンズ・ミュージシャンである
我が細野晴臣先生や大瀧詠一先生もかなり傾倒したらしく、識者に言わせるとその音楽性は、細野の「チャンキー」、大瀧の「音頭」に流れ込んでいるということだ
なるほど、確かに
去年に始まる俺の「大瀧詠一」なんだけど、休みの日は家で昼飯を食いながらYouTubeで、山下達郎との「新春放談」を聴いている
これは1984年から2011年まで毎年正月にラジオで放送された、二人のおしゃべりと当時の近況、そして様々な60年代ポップスを紹介するという番組
聞いたことのないグループの、めちゃくちゃいい曲がかかるもんだから、昼飯はいいけどそちらが消化不良になってしまう
メモでも取りながらメシ食えばいいんだろうけど
そんなところかな
ではまた!
(敬称略)