高校生の頃、バウハウス(Bauhaus)というイギリスのバンドに入れ込んでいた
ジャンルでいうとニューウェーヴのギターバンド
テクニックの部分では大した事ないんだけど、そんなのは問題じゃない
重要なのはその強烈なアート志向であった
まずはバンド名「バウハウス」に始まり、デビューシングルが「ベラ・ルゴシの死」
ベラ・ルゴシって誰ってなるけど、映画『魔人ドラキュラ』のドラキュラ役俳優のこと
そしてそのジャケットは映画『カリガリ博士』のワンシーンからだった
こんなの早熟でも優秀でもない高校生に、解説も無しで分るわけがない
あと、『天井桟敷の人々』だの、ニジンスキーだの、アントナン・アルトーだのといった固有名詞を知ったのはバウハウスのおかげだ
余談ながら、YMOやプラスチックスやデヴィッド・ボウイなどの作品や発言から、その手のアート系固有名詞を仕入れ、それらは当時の俺のキャラ作りに大いに役立ったものだ
ホラー映画のようなPVが素敵(閲覧注意か)
さてそのバウハウス、俺が高校3年生の1983年に解散し、ふたつに分裂
ギターのダニエル・アッシュらがラヴ・アンド・ロケッツ*1を結成し、ヴォーカルのピーター・マーフィーはソロ活動を始める*2
ソロとなったピーター・マーフィーは1986年にアルバムを出し、来日公演もあった
バウハウスは観られなかったが、そのライヴには行った
でも、アルバムがそれほど好みじゃなかったし、ライヴが地味だったので、それほど感激はしていない
なんだかんだでカッコいいペルウブのカヴァー PVも最高
バウハウスの曲は3曲ほどやったが、バウハウスの曲をもっとやってほしいとの客の声には「だったら聴くな」みたいな事を言い返していたのが印象に残っている
その客は「sorry」と情けない声で謝って、会場の笑いを誘った
次の来日公演は1988年、セカンドソロを出してからだった
その頃の俺はロックへの興味を無くしていて、そのアルバムも聴いていなかったが、友達に誘われてライヴを観に行っている
そんな状態だったので、どんな曲をやったのかはよく覚えていないが、プリンスの「パープル・レイン」をやったのは覚えている
凄く意外だったし、当然大いに盛り上がった
前の来日の時より派手なステージで、ピーター・マーフィーらしくていいなと思ったのだった
さてその後はバウハウスともピーター・マーフィーともすっかり無沙汰していた
ところが15年くらい前に、やっぱりバウハウスはかっこいいな、と思い直してCDで揃えた
でもピーター・ソロまで聴き直したいとは思わなかった、ついこの間までは
今年に入って、ブックオフでピーター1988年の2ndソロを280円で発見、何となく買ってみた
いざ聴いてみると、あの忌々しい80年代後期の音がする
やっぱりか、なんて思ったけど、何回か聴いているうちに馴染んできた
いや、馴染んできたどころか、凄くいい感じに思えてきた
バウハウスの頃に比べると、当然ながらバンドサウンド的なところが薄れて、しかもあの当時特有の音だったので、どうしても抵抗があったんだけど、ダークな声の妖しさは健在、1枚目に比べて曲もいい感じだ
これはもっと聴かなければならない、と
いろいろ調べてたらこんな怪しいのを発見
その名も『Peter Murphy 大全集 MP3CD』
アルバムデータ7枚分が入って361円(送料別)
これは凄い…しかもロシア製
これって完全に非正規品じゃないの
でも、ロシアでは普通に売られていると書いてあったけど…ホントかな
そもそもロシアってだけでオフィシャルじゃない感じがするけどね…
なんて、いや、冗談です、調子こいてしまいました
という訳で正規品です
パソコンに入れたら、ちゃんと普通に iTunes で管理もできた
これは素晴らしい
現在は奥さんの出身地だというイスタンブールに住んでいるらしい
ダリズ・カーでの盟友ミック・カーンがキプロス生まれだった事を考えると、ちょっと面白い
どことなくふたりとも顔立ちがエキゾティックというかオリエンタルで、ひょっとしてピーター・マーフィーもルーツがそっちの方なのかもしれない