このところレジェンドたちの訃報が続く
ニューヨーク・パンクの代表的バンド、テレヴィジョン*1のソングライターでヴォーカルでギターのトム・ヴァーレインが1月28日に亡くなった
享年73
高校生の頃から現在に至るまでテレヴィジョンの1stアルバム『マーキー・ムーン』(1977年)は大の愛聴盤だ
このアルバムは名曲満載で、冒頭の「シー・ノー・イヴィル」から「ヴィーナス」「フリクション」「マーキー・ムーン」とA面は全て名曲で、B面は個人的に少し緩い感じがするんだけど、最後の「トーン・カーテン」がこれまた名曲
この中で1曲というと迷っちゃうけど、やっぱりアルバムタイトルでもある「マーキー・ムーン」かな
この「マーキー・ムーン」、アナログ盤では9:40あたりでフェイドアウトして終わるんだけど、CDでは演奏の最後まで収録されている
今では慣れたものの、初めはもの凄く違和感があった
どう言う理由でフェイドアウトだったのか、あるいはフル収録になったのか
ところで、当時のレコードの解説ではヴァーラインとなっていたから、俺はしばらくそう言ってた
綴り(Verlaine)を見るとヴァーレインが妥当なようだが*2
本人としては、日本語表記までは知らんがな、ってところでしょうな
アナログ『マーキー・ムーン』の解説を水上はるこが書いていて、その文章も印象的だった
例えば「鶴のような長い首を持った官能的なロックンローラー」とか「(当時の恋人)パティ・スミスと抱き合って1分に1回キスをしている」とか、ね
今回そのパティ・スミスもコメントを出していて、なんだか嬉しくなった
テレヴィジョンの初期メンバーで喧嘩別れしたリチャード・ヘルはどうなんだろう
80年代、リチャード・ヘルが結婚した時に、全く会ってもいなかったヴァーレインから祝福のメッセージを貰った、と照れくさそうに語ったというインタビュー記事を読んだことがある
ついでに、俺のギター、ジャズマスターはヴァーレインの真似をして買ったようなものだ
今じゃ猫も杓子も使ってる感じするけど、彼こそが元祖ジャズマスター・マスターなのだ
なんだかそういうのまで含めて、テレヴィジョン、トム・ヴァーレインは、俺には特別な存在だった
そして何と続いて鮎川誠の訃報までも
ヴァーレイン逝去翌日の1月29日
享年74
俺にとって鮎川誠とはYMOのレコードでギターを弾いた人だ
彼にとっては本来の仕事ではないが…
でもYMOでのギターは、そりゃもうカッコよすぎるんだ
ビートルズのカヴァー「デイ・トリッパー」でのギターソロ
音が左右に振られるなどの編集はされているものの、音色やフレーズ、そして何と言ってもこのドライヴ感は鮎川誠のものだろう
何度聴いても(実際何百回聴いてるんだろうか)毎回シビれる
YMOとの繋がりは、デビュー当時のコステロ来日公演で、鮎川率いるシーナ&ザ・ロケッツが前座を務めたことからだそうで
そのライブを観た高橋幸宏が、細野晴臣に紹介したのがキッカケだという
それはYMOもブレイクする前の話
そしてYMOのライブに参加する事になったが、その時ウケを狙って、ギターを紙袋に入れてやって来たという
それは見事に当たって、よし、と思ったそうだ
なんか鮎川誠らしいエピソードだと思う
下北沢の居酒屋で俺の友達が鮎川誠を発見して、握手してもらったらしい
そいつ180cmあるやつなんだけど、キミ背でかいね〜、とその時に言われたという
友達は、あんたも同じ(身長)じゃないか、と思ったそうだが
もう30年以上前に直接聞いた話
今でも鮎川誠と言えばその話を思い出す
俺自身の体験でもないのに
これだけ書くのに2週間もかかったわりに、取止めもなくて整理もついていない
でも何か書いておきたかった
冥福を祈る、安らかに
(敬称略)