ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

甘いメロディ 親しみやすい旋律

俗に言う「甘い」あるいは「親しみやすい」メロディーというものに、長らく偏見と抵抗があった

いいなと感じても、一方では「やりすぎじゃないか(甘すぎじゃないか)」とか、昔は考えていた

 

メロディーが「甘い」「親しみやすい」と感じるのは、要するに、それだけそのパターンが使い古されているから耳馴染みがいいという事だろう、と

だから、そんな音楽なんて誰でも作れる、つまり素人でもできる、更に言うと素人でなければできない恥ずかしいものだ、と思っていた

 

いや、今でも多少そんなところはあるんだけど

これそんなにいい曲じゃねえだろとか、なんでこの歌はそんなに名曲扱いされてんのとか、これ何か変な歌なのにねとか…

 

余談だが、家でもそんな事をほざいていて、某人気歌手を馬鹿にしていたら、子供たちまでそれに影響されてしまった

テレビでそいつの歌が流れるとニヤニヤするのだ

妻には、家の中ではいいけど沢山のファンがいる歌手を外でバカにして言うようになるとあまり良くないからそんな事を言うのはやめて欲しい、と言われた

なるほど、それもそうだ

それに俺、ミュージシャンでもないしね…

 

 

昔、友達とバンドを組んでいて、作曲なんて事をした経験がある

ギターでコードの進行を考えて、それに合わせてメロディー決めたり、逆にメロディー作ってからコードを当てはめたり、なんていう程度だが

でも、ちょっといいかも、なんて思うと大抵何かの曲に似ている事に気付く

所詮アマチュアだから、その辺はお構い無しなんだけど、ココロザシは何処へやらで、オリジナルないいメロディーなどというのは最早存在しないのではないか、と10曲程度作っただけで思ってしまった

でもある意味、真理ではあるんじゃないかな

 

作曲している時、その音列の根拠がよく分からない、というか根拠など無いという事に気付く、という事態に陥った

例えばメロディーが、ドの音からファに移りラに行ったとして、そう決めた根拠は何なのか

やがて、その根拠薄弱なまま続けて行くと何となく意味らしきものが現れた気がしてきて、結果として「甘い」もしくは「親しみやすい」音楽の出来上がりとなる

 

だからいっそシェーンベルクなんかの十二音技法みたいなものの方が、すぐその「ド・ファ・ラ」に根拠が持てたりするんじゃないかと思ったりもする

ただし、俺には全然その音楽の面白さがよく分からないのではあるが

 

 

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こんなテーマでシェーンベルク先生を出してくるのはまったくのお門違いですが

 

 

 

と、そんな薄っぺらい経験で分かったような事を言うのはもうおしまいにして、ここからは懺悔の言葉である

 

スティーヴィー・ワンダー は「可愛いアイシャ(Isn't She Lovely?)」など数々の名曲を世に送り出して来た訳だが、なんと俺はこれら絶品のメロディーの「親しみやすさ」や「甘さ」が昔は口に合わなかったんだな、何故なんだろう

 

あと、俺は坂本(龍一)先生の大ファンなので、当然といってはおかしいが、クラシック音楽ではドビュッシーとサティとラヴェルが断然好きなんだけど、ラヴェルに関しては「亡き王女のためのパヴァーヌ」なんかの「甘さ」に何となく安っぽさを感じていた

それはとんでもない勘違いだったと数年前に思い直した

 

この前、二十歳の頃にアナログで買って持っている、ビル・ウィザースという黒人歌手のベスト盤CDが280円だったから買った

実はそのアルバム、ヒット曲「Just the Two of Us」以外あまり好きじゃなかったんだけど、何十年振りかで全編聴いてみたら、なんと全曲いいじゃないか

俺はBill Withersの「甘さ」の良さが分かってなかったんだね

でも、その「Just the〜」も十分に「甘い」メロディーではあった訳だが、なんだったんだろ

 

ビーチボーイズ然り、シュガー・ベイブ然りで、今ようやくその「甘さ」「親しみやすさ」の許容範囲がだいぶ広くなってきて、ここまで来るのに物凄く時間が掛かったなとしみじみ思う