大胆にも「パースペクティヴ」なんてカッコいい言葉を使ってしまった
借り物のパテック・フィリップみたいな高級時計を身に付けたようなものだが
でも着ている服はいつもと変わらない、という
と、そんな訳で、ふと気付くと60歳まで半年を切っている
俺はもうそんな歳なんだな〜なんていうのが正直なところだが
だって40年以上前の高校生の頃の事がそんなに昔の事に感じられないから
それについては友達が、10代の頃の関心事が記憶の引き出しの上の所にずっとあるからだって言ってた
なるほどね、上手い事言うもんだな、と思った
通俗心理学とかでよく言われてる事かどうかは知らないけどね
でもこれは進歩も成長も無いという事なのか
確かに多少の拡がりはあったけど、さほど変わってないっちゃ変わってない
いまだにYMOとBowieとNewWaveだしね…
長く生きて来ると時間の感覚っていうものが変わって来るというか、狂ってくるというか
誰もが感じているであろう事だとは思うけれども
どういう事なのか、まあお付き合いください
例えばヴィンテージギターっていうもの
俺の持ってるジャズマスターってギター
19歳の時に買ったから、もう40年も前のものだ
年式だけ見たら立派なヴィンテージなんだけど、それが何だか不思議な感じ
だって俺が10代の80年頃に感じた57年制ストラトキャスターのヴィンテージ感より古いだなんて
…例えが悪いかな
Radiohead なんかは比較的最近のバンドって感じがしてたけど、デビューは30年も前なんだな、とか
今20歳前後の者たちにとっては20世紀の事なんかは、俺にとっての60年代(ベトナム戦争、ビートルズなど)みたいなものなのか、とか
俺の父親は酔うと学生時代の思い出話をするけど、たぶん俺が思うほど昔話とは思っていないだろう、とか
リアルタイムに経験してるかしていないかで両者の時間の感覚のズレはかなり大きくなる訳で、さっきのヴィンテージの件も要はそういう事なんだろう
他にもいろいろあったような気がするんだけど、、、
一口に「三十年戦争」って言うけど、とか
いやいやイスラエルとその周辺国の争いはもう80年も続いてる、とか
絶滅した生物、部族、言語、方言の事、とか
それにしても俺の人生が順調に行ってもあと何十年かで終わる
でも、これからの何十年というのはリアルタイムでは未だないから、長く感じる訳なんだな、きっと
いや、こんな事を書こうと思っていたんじゃなかった
歳をとって時間に対する感覚が変わってきたことを書こうと思っていた
よく言われる、分母と分子の関係では説明しきれない何かの事を
仕方ないから、昔から変わらない、どうしても変われないでいる、俺の中の時間の感覚を書いておこうか
俺はまあ、遅刻はしない
遅刻はしないんだけど、いつもギリギリ
仕事に限らず到着時間は、いつもギリギリだ
毎日毎日「やべぇな、やべぇよ」と言いながら支度をしている
どうして余裕を持って取り掛かったつもりがこんな事になるのか
俺にはさっぱり分からない
時には完全アウトの時もある
でも何故か、本当に何故か、そんな時にはいつも奇跡が起きて不思議と間に合うのだ
神の恩寵(あるいは懲罰)で、俺の死は来ないんじゃなかろうか