ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

つぶれるまで 45:アイヒマンズ

十数年前の民事再生での弁済金は総額3億円弱

結局残り2年分の約5000万円は返済できていない

各取引先には申し訳ないのだが、このまま会社は破産するしかない状態だ 

協力してくれていたところには、本当に会わせる顔が無いどころじゃない

そしてそのXデーはもうすぐそこに来ている

そんな時期だというのに何と社長から新事実が告げられた、というかポロっと出た言葉が聞き捨てならない内容だった

 

ここ数年の取引先への支払いは弁済金も含め、協力的かつ利益をより多く生むところ中心に向けてきた

金が無く従業員の給料もままならなくなった以上こうするしかないよ、と社長には何度も口を酸っぱくして言ってきている

1日でも長く続けたいならば、嘘も方便、不義理も致し方なし、と

 

ところが、非協力的であるばかりか利益にも繋がらない取引先の弁済金約3000万円が、もう80万円で完済するというのだ

従業員の給料を遅配して、利益を多く生むだけでなく協力的な取引先にも最低限の支払いすらせず、そんなところにせっせと毎月100万円近くも払っていたらしいのだ

数年前に強く言われて以来ずっとだという

もっともここ1年以上はそれも滞っていたようだが*1、いずれこの残高の低さは例外的である

 

迷惑をかけた取引先に対して、そんなところ、なんていう言い方も無いもんだが、まあこれはあくまでこちらの勝手な都合で…

ただ改めて、あんな社長に舵取りを任せていた自分たちのマヌケさ加減には呆れてしまう

結果論だが、もっと早くから社員が経営に関与していればこんな事にはならなかったのではなかろうか…

 

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今では社長を悪人だとは思っていない

単に心の無い無能者だったのだ、という評価である

会社を立て直そうとか社員の生活への責任だとかはあまり考えていないだけなのだ

 

思えばそんな奴ばかりが大きな顔をしてのさばっていた

裏契約による三代目バカ息子への送金のために会社の利益と社員の給料を削った前社長

自分たちより先に部下たちを減給しておいて何とも思わなかった上司たち

ずっとバカ息子への振り込みをしながら、減給も無かったばかりか誰よりも高い給料を貰っていた総務の女性社員は、前社長の指示に従っていただけだと開き直った

 

 

ナチスユダヤ人虐殺計画を指揮したアイヒマンはごく普通の凡庸な男だったという

アイヒマンの任務遂行の仕方は無思想の思考停止によるもので、これを評して「悪の陳腐さ」と言った人がいるが、我が社をここまで崩壊させたのは正にこの現象だった訳だ

ま、これはどこの社会でも大なり小なりある事で、俺だって立場が違えばこうなっていたかもしれないけども

 

アドルフ・アイヒマン

 

[生]1906.3.19. ドイツ、ゾーリンゲン
[没]1962.5.31. イスラエル、テルアビブヤフォ


ナチスの幹部。ユダヤ人集団殺害 (→ホロコースト ) の責任者の一人。 1932年ナチス党員となり,のちに親衛隊の幹部に昇進。 1942年以降はアドルフ・ヒトラーユダヤ人撲滅作戦の責任者の一人。

第2次世界大戦後,アメリカ軍に逮捕され(中略)、 1961年 12月絞首刑の判決を受け,1962年5月最高裁判所への上告は却下,刑が執行された。

罪状は,ユダヤ人に対する罪,人道に対する罪,戦争に対する罪であった。

一方,アイヒマンは,自分は祖国の法と旗,戦争の法則に従っただけであることを理由に最後まで無罪を主張した。

 

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

 

冒頭で触れた取引先の所長が昨日やって来た

残り80万円回収のため、在庫商品をその分だけ持って行きたいという

社長その時、我々の許しを得ようと相談に来たが、それらは俺たちの給料のためにどうしても必要な物だから断固拒否だと伝えて帰ってもらってくれと答えた

 

許可を得るも得ないも無いだろう、じゃあ給料はどうやって用立てようというのだ

俺たちが、それは仕方ないですね、なんて答えるとでも思ったのか

社長はそんな「普通の」人間なのだ

 

*1:未確認ながら、自分のところでその小売店を潰したと業界内で言われたくないようで、結構ギリギリまで待ってはくれるらしい…