先日の4月30日に作曲家の木下忠司が亡くなった
実はその訃報をついさっき、ネットで見つけたのだが、なんと102歳であったという事に驚いた
もちろん、結構な高齢であろう事は想像していたが、まさかそれ程とは
追悼などと言いながら、ほとんど木下忠司の事は知らない
しかしそんな俺にとっての木下忠司とは、何より『特捜最前線』(昭和52年から62年まで放映)のサウンドトラックの作曲家であるのだ
『特捜最前線』は俺が最も夢中になって観ていた傑作刑事ドラマであり、俳優陣も二谷英明、大滝秀治、本郷功次郎、西田敏行、藤岡弘、誠直也など個性的な面々で、さらに木下忠司の哀愁漂うメロディがまた余韻を深めるのだった
事件の裏に孤児、売春婦、失踪者の悲哀があり、事件が解決しても関わってしまった人間の悲しみはこれからも続く、そんな脚本が多かった(個人的印象)
脚本、俳優同様に、木下忠司の音楽も決して切り離す事ができない、そんな存在であったのだ
有名なところではチリ・アーノが歌う、番組エンディング・テーマ「私だけの十字架」であろう
新宿の空の大きな夕陽が映し出され、ジャガジャーンとギターがかき鳴らされると、いかにも外人が歌っているという発音で歌われる名曲だ
サウンドトラックは3枚リリースされていて、もちろん俺は全て持っている
何しろ3枚だから、「えっ、こんなのも⁈」みたいな数秒で終わってしまう小さなものまで収録されていて、夜寝る時に聴いたら頭の中で再現されたドラマが夢に出てきそうな位だ
俺のiPhoneには約3000曲入っていて、その中には『特捜最前線』のサントラからも何曲か入れている
車の運転中シャッフル・プレイで流していると突然になんの脈絡もなく(当然だが)デヴィッド・ボウイやYMOに混じって、ドラマでの曲が流れてきて面白い
そんな訳で、俺の中の木下忠司は『特捜最前線』の木下忠司なのだが、10代の頃からのずっと身近にある音楽を作ってくれた作曲家なのだ
今までありがとうございました
ご冥福をお祈りいたします
これからもずっと聴き続けます
(敬称略)