ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

ジャズについて俺が知っている二、三の事柄を語ってしまいました〜チャールズ・ミンガスに触れて

この前チャールズ・ミンガスの5枚組を購入した

5枚組といっても¥1500程度の廉価版だが

その中に「Oh,Yeah」(’61年)というデヴィッド・ボウイ推薦のアルバムが入っていたからだ

 

ボウイは熱心なジャズ・ファンであり、最後のアルバムでもジャズを使った位だが、そんなボウイの好みに興味があったし、またチャールズ・ミンガスでは以前に『直立猿人』(’56年)を聴いてそのカッコ良さを知っていたから、5枚組なんか買っちゃっても大丈夫だろうと思ったのだ

 

さてその「Oh,Yeah」、興味を引いたのはジャケットがジャズ風ではないという事

ボウイ推薦でなければちょっと手を出しにくいデザインだ

チャールズ・ミンガスはベーシストとして有名な訳だが、ここではピアノを担当しヴォーカルまでやっている

しかも見た目通りで声が太く、Blues風な感じでえらくカッコいい

 

内容は勿論いわゆるジャズなんだけど、フリージャズ的というか、かっこよく言うとアヴァンギャルドな味わいがある

更に強いて言うならR&Bやファンクっぽく感じるところもあって、ジャケット同様に非ジャズ的なエンターテイメント性もバッチリだ

だから『直立猿人』同様に長い曲も全然退屈しない

 

要するに「テーマ」がカッコいいと感じるからなんだろうが、どうカッコいいのかを口ではうまく説明できない…

 

個人的には「テーマ」次第でその曲の殆どが決まってしまうと思っている

コルトレーンの『至上の愛』も、あの「テーマ」が、あのカッコ良さだからアルバム1枚丸々すんなり聴けてしまう

結局のところ聴き方がまだロック・ポップス的なのだろうと思う

 

ところでボウイはこのアルバムのどこに惹かれたのであろうか 

正直言って分かりません…

 

 

Oh Yeah 

ボウイのSuffragette City('72)の歌詞に引用されているWham Bam Thank You Ma'amという曲が収録されている 


Charles Mingus - Wham Bam Thank You Ma'am

 

ジャズに関してはずっと興味はあったものの、長らく敬遠していた

いや、現在でも「ジャズの門」をくぐったとは言い難く、せいぜい門の前をウロチョロしているに過ぎないという程度だ

それは苦手な要素がその中にドッカリとあるからだが、それについては後に触れる

 

初めて「ジャズってカッコいいかも」と思ったのはラジオで聴いたマイルス・デイヴィスの「マイルストーンズ」で、二十代前半の頃だ

でもその頃はラジオでジャズの雰囲気を楽しむ程度で、レコードを買うまでには至らなかった

今もそれほど多いわけではない

 

そしてようやく二十代半ば頃になって初めて買ったジャズのCDが、アート・ブレイキーの『危険な関係

同名映画のサントラでもあるこのアルバムはジャズが苦手な人でもきっと楽しめると思う

 

キッカケは坂本龍一が’91年に『ハートビート』というアルバムをリリースした際に、ある雑誌の特集で坂本推薦アルバム百選に入っていたものだったから

これはロック、クラシック、サントラなど幅広いジャンルから選ばれていて、ちなみにジャズでは他に

 

などが選ばれている 

この雑誌での坂本100選はまたいつか当ブログで取り上げたいと思う

 

 

 

さっき触れたジャズの苦手な要素とは何かというと、各メンバーが回すアドリブ・ソロだ

ロック・ポップスでソロというと主にはギターがやることになっていて、時間にしてせいぜい長くても1分のメロディアスなもので、現在ではソロとは言いながら曲の間奏の役割をはたしている場合がほとんどだろう

 

しかしジャズではそれを1曲の中で3人位は回すのが普通で、しかも音の連なりは素人にはよく分からない理論に基づいた、メロディ感の乏しいものばかりだし、リズムもやや複雑で、パッと聴いてすぐに楽しめたり感動したりするには難しいものだ

 

それがジャズの本質的な部分であり、醍醐味の一つである事は重々承知しているし、ライブではまた違った受け取り方になろうとは思うが、レコードではどうしても退屈してきてしまう

曲も長くなるし、どうにかならんものか、と思ってしまうのは、つまりこちらの基準がロックやポップスだからだろう

さっきの「ジャズの門」の前でウロチョロというのはそういう意味である

 

とまあ、いろいろ知ったようなことを書いてきたが、俺のジャズの知識は上記の坂本百選と2015年1月28日に62歳で亡くなった音楽評論家、中山康樹の著書によるところが大きい

というかそれのみといっても過言ではない

中山康樹の本についてもまた後日触れたいと思っている

 

 

(敬称略)