ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

モドキの話

動植物の名前に「モドキ」とついているのがいる

ただ単に似てるからってのもあるだろうけど、虫だと生存のためだったりもする

動植物の進化の神秘

 

でも植物だと「本物」を知っていないと、「モドキ」と言われてもピンと来ない

調べてみると「モドキ」と付く植物名は70種くらいあるそうで

たぶん見ても、何が「モドキ」なのか分からないのがほとんどだろう

 

最近知った植物に「タンポポモドキ」なんてのがある

道端に咲いていたタンポポを見て、こんなに茎が長かったっけと思って調べたら「モドキ」だった

これはたまたま似てるだけなのか、何か理由があるのか、よくは知らない

 

虫の「モドキ」となると分かりやすい

嫌な人が多そうだから画像は載せませんが、「カマキリモドキ」なんていうカゲロウがいる

見た目はカマキリなのに正体はあのカゲロウなのだ

 

また、必ずしも「モドキ」と名前につくわけではないが、擬態なんてものも興味深い

ナナフシとか、花にそっくりなカマキリとか、自分より強そうな奴が近くに来ると体を細くしてその場をやり過ごそうとするフクロウとか

つくづく本能や進化は神秘的というか驚異的だ

 

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タンポポモドキ、あるいはブタナ(豚菜) Wikipediaより

 

 

安部公房に『人間そっくり』という小説がある

まるで新生物「ヒトモドキ」を思わせるタイトルは、仲々グロいなぁと思って気に入っている

内容はそういうのでは全然ないけども

 

この「人間そっくり」というか「ヒトモドキ」という言葉は、俺の中ではかなりなグロテスク度の高いものだ

例えば「人でなし」なんていう言葉は倫理的なモノサシによるものだし、「非人」などという呼称は要するに差別用語また歴史用語であり、どちらも「そっくり」や「モドキ」などの事を指してはいない

俺が想像するものは、ただ単に「人間・ヒト」に似ているだけの生物で、「そっくり」であるが故に気持ち悪い存在だ

 

小説等の創作物で俺の知ってる範囲では、ジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』にそんな「人間そっくり」が出てくる

あとは正三の『家畜人ヤプー』、村上龍五分後の世界』に、正真正銘の人間ながら「ヒトモドキ」としか呼べないような人間(どちらも日本人!)が出てきて、そいつらはかなり気持ち悪い存在なのだ

たぶんSF小説にはまだまだあるだろうし、マンガにも多そうだけど*1、残念ながらあんまり詳しくないから、これ以上の紹介はできませんがね…

 

俺、猿が大嫌いなんだけど、理由のほとんどはソレだ

テレビで見ても動物園で見ても、とにかく気持ち悪い

ただし、猿回しの猿だけは例外で、理由は自分でもよく分からない

 

結局のところ、動植物を擬人化して想像すると何だか気持ち悪く感じる

虫でも鳥でも魚でも犬でも、それらの生態を人間のものとしてみると、あ〜いやだ、気持ち悪い

どこにでも図々しく生えてくる雑草や花、キノコなんかの光合成をしない連中なんかも、あ〜ホント気持ち悪い、やめてくれ

 

それとして見ればなんて事ないのに、擬人化するとたちまちグロテスクに

何でわざわざ擬人化するのかだって?

何でだろう、結局は怖いもの見たさって事になるのかな(平凡な答えですみません)

 

だから動物の求愛活動ってのがなんとなく気持ち悪く感じてしまう

エサに群がってくる奴らとか

でも人間も同じ事してるワケで本当にイヤになるのだ 

 


Throbbing Gristle – Subhuman

 

何だか殺伐とした話になってきたので方向転換

猫好きで知られる坂本龍一が80年代に飼っていた猫の名前は「アシュラ」というが、その後に坂本宅に迷いこんで来た猫も飼うことになり、その風貌がアシュラに似ていたことから(アシュラの)「モドキ」と命名したそうな

1984年の『音楽図鑑』収録「M.A.Y. In The Backyard」の「M.A.Y. 」とは「モドキ・アシュラ」とそれから何だっけ、忘れた

 

道端にアサガオが咲いてて、種が落ちたんだろうかなんて思ってたら、それはヒルガオだった

残念ながら「モドキ」ではないようだ

アサガオと違って雑草扱いらしいけど

ちなみにユウガオとヨルガオがあるのはご存知の方も多いだろう…俺は考えたこともなかった

 

(敬称略)