今月先月と、志村けんや岡江久美子などの有名人が亡くなったが、欧米でも有名ミュージシャンが3月に亡くなっていた
残念ながら日本ではあまり有名ではないせいか、週刊誌や新聞はもちろんヤフーニュースみたいなものでも取り上げられなかったようだ(たぶん)
俺自身、彼らの死を知ったのはつい最近である
- ジェネシス・P・オリッジ(享年70)
いわゆるインダストリアル・ミュージックの元祖、スロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle 以下 T.G.)のリーダー
初めてレコードを買って聴いた時、不良品を買ったのかと思ったほどのノイズ
何しろメロディーばかりかリズムも無く、楽器から出ているであろう音と呻き声が長々と続くというシロモノであったのだ
上のレコードジャケット(1979年)左から二人目がジェネシス
ご覧の通り背が低く、顔つきや服装も男か女かよく分からないが、男である(80年代の音楽雑誌に、ライヴで局部を露出してマイクに擦り付けている写真が載った事がある…持ってたっけかな)
この男、90年代に若い女性と結婚したが(上ジャケットの女性ではない)、なんと二人でお互いの見た目を似せるための整形手術を受け、ジェネシスは性転換手術までもして見た目はすっかり女性になってしまった
これを「パンドロジェニー・プロジェクト」と呼ぶらしいが、下の画像が2010年頃の新しい姿
3月14日、以前から患っていた慢性骨髄単球性白血病によって死亡との事
聴いていて、楽しいとかカッコいいとかいう種類のものではないが、たまに無性に聴きたくなる
一番聴きやすい曲を貼っておこう
Throbbing Gristle - Adrenalin (EBM 1980)
- ガビ・デルガド=ロペス(享年62)
ドイツの2人組テクノバンド D.A.F. (Deutsch Amerikanischen Freundschaft)のヴォーカル
名前がドイツっぽくないなと思っていたが、子供の頃にスペインから移住したとの事だ
バイセクシャルを公言していた
実は上記ジェネシスの死を知って、ネットであれこれ調べていた時に、ガビの訃報を知ったのだった
デビュー当時は、インダストリアルな実験音楽にパンクっぽさを加えたような感じだったが、3枚目のアルバムあたりからダンスビート風なものになって、グッと聴きやすくなった
それまで奇声と呻き声ばかりだったガビのヴォーカルも冴えてきたように思う
発信音のようなシンセサイザーとタイトなドラムに、ガビの暑苦しい声が最高にカッコよかった
1981年の "Sato-Sato" を貼っておく
タイトルの意味、漠然とドイツ語で何かの意味だろうと思っていたが、どうも辞書に載っていない(スペイン語でもなさそうだ)
オノマトペの一種なのだろうか、「佐藤、佐藤」ではないと思うが、何だろう
亡くなったのは3月22日、死因はよく分からない
- ビル・ウィザース (享年81)
友人からのメールでその死を知った
実は今月、70年代のビル・ウィザースのライヴ盤紹介記事をたまたま読んで、アマゾンの欲しいものリストに入れたばかりだった
ひょっとして訃報に絡めた記事だったのかもしれない、うっかりしていた
代表曲は "Ain't No Sunshine" 、 "Lean On Me" ということになるんだろうか
俺とその友人にとっては何と言っても、1980年のグローヴァー・ワシントン・ジュニアとの共演 "Just The Two Of Us" だ
俺にもその友人にも、初めて好きになったメロウなブラックミュージックだった
青春の曲かというと少し違うが、俺たちにとって物凄く思い出深い曲なのだ
久保田利伸が1995年にカヴァーしているが、彼にとってもそうだったのだろうか
心臓疾患の合併症のため3月30日に亡くなったのだが、初めは新型コロナが死因かと思った
Bill Withers - Just The Two Of Us (official video)
T.G. と D.A.F. は、高校入学前の1981年3月に発売された、YMOブック『OMIYAGE』の中で坂本龍一が紹介していて、その時初めて知ったバンドだった
そしてこの3人の音楽は、坂本のNHK-FM「サウンド・ストリート」(1981年4月〜1986年3月)で聴いたのが初めてだったのだ
我が青春のヒーローたちよ、謹んで冥福を祈る
(敬称略)