ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

なぜ『二十四の瞳』と『時効警察』が一緒に

壺井栄の昭和27年発表『二十四の瞳』を読んだ

子供向けの反戦文学という事以外どんな話なのかも知らなかった

映画化やテレビドラマ化もされているが観た事はない

 

時は昭和初め、ところは瀬戸内の小さな島

洋服を着て自転車に乗ったハイカラな新米教師、大石先生が受け持った12人の新一年生

やがてその幼い子供だった生徒たちは、ある者は戦争に駆り出され、ある者は病に倒れ、ある者は貧しさに打ちひしがれ、また夢を絶たれてしまう

 

ただし作者が戦後の視点から書いているせいか、その筆致は決して恨みがましいばかりではない

むしろ全般的に明朗で優しいほどだ

戦争が終わった事でまた芽生えてきた希望によるものなのかもしれない

 

とはいえ、子供たちの成長が、戦前から戦後にかけての世の中の流れと絡ませて描かれているので、そのコントラストの鮮やかさは残酷なほどである

そしてこれは特別な体験の物語などではなく、当時どこにでもあったありふれた出来事だったのだ

反戦イデオロギーなどではない

 

なんて、俺なんか子供向けだとタカを括って読んだから、あまりの悲しみに不意打ちされて何度も泣きそうになっちゃって

ラストもまたしんみりして、ね

あ、加齢による情緒不安定は差っ引いてくださいよ

 

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はてさてそんな訳で、『時効警察』第三弾、毎週観てるんだけど、何だか違和感がね…

何だか、はしゃぎ過ぎな様な、無理矢理「ぽく」しようとしてる様な

キャストだって、主要なところはそのままでいいのに、吉岡里帆って必要かな、無名の子でいいんじゃないの、なんて

 

でもようやく最近慣れてきて、落ち着いて観てられるようになった

吉岡里帆だって振り切った演技をして一生懸命頑張ってるし、そもそも可愛いし、いいじゃないか

誰だ、事務所のゴリ押しだなんて言う奴は

 

で、なぜ急に『時効警察』を持ち出してきたかって言うと…

もしまた『二十四の瞳』を実写化するとしたら、大石先生は吉岡里帆がいいのではと思ったからだ

いや、この度の出演に対して、以前の俺みたいな心無い批判が多数寄せられたみたいだから、かえって応援したくなったのかな(いい歳コイて、との声もあろうかと思いますが)

 

 

さて、『二十四の瞳』に戻ると

大石先生は肝心な所で泣いてばかりのダメ教師だとかいう意見があるそうで

また、反戦への主張が弱い、なんて事を言う人もいるそうで

 

でも、そうかな

あれで良かったし、ああじゃなければならなかったと思う

だってそうでないと、あの感動は無かったんじゃないかな

 

(敬称略)