ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

つぶれるまで 11:悪党列伝5

一族の人間たち

 

会長が死んでもう5年以上になる

何歳だったのだろう、90歳近かった筈だ

嫁にも息子にも先立たれ、孫には会社を潰され、娘たちは地元を離れ東京に行ってしまったそうで、孤独死だったのかどうなのかは知らないが、あまり幸せな晩年ではなかったように思う 

 

俺としては、会社をこんな状態にしてしまったのは孫のせいだとはいえ、苦しむ社員に対して何の謝罪もなく、もちろん金銭的な援助もないまま、それでいて娘たちには決して少なくはない遺産を相続させてやるという、そんな人間に同情も何もありはしない

 

 

現在この一族の連中は、会社の経営にはノータッチであるが、それでも社の株を今でも何%かは持っているそうで、何年か前までは会社が弁済金を払い終えたら、またあいつら一族の連中がしゃしゃり出てくるんじゃないかと社員みんな思っていたが、今となってはとんだお笑い草だ

払い終えるどころか、借金は膨れ上がってもう限界だよ

 

呆れてしまったのは、10年間の弁済金を支払い終えたと思ったのか、会長の娘が自分の持っている株を買い取ってくれと現在の社長に電話をしてきたらしい事

今や何の価値もない株だとはいえ、ちゃっかりしたものだ

いずれそんな金などないので断ったようだが、あの一族の奴らは一体どこまで面の皮が厚いのか 

 

こんなのが地方の旧態然とした中小企業の実態であり、現在でも社員の事など昔ながらの丁稚奉公だと思っているフシがある

いつまでたっても所詮は成金の野蛮人である

 

 

 

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会社の状況は悪化の一途をたどっている

最早カウントダウンの状態だ

社長はどうやら何もする気はなさそうだし、社員側から極秘裏に会社をつぶす事を考えなければ無さそうな気配で、実際そんな相談も一部でしたところである

 

このままでは、ただ社長の自己保身に付き合ってのタダ働きになりかねない

それならば、社長はじめ役員に後は任せて俺たち社員はいち早く次の行動に移るのが得策というものだ

 

役員は現在、社長の他は自宅療養の「子分」と、あともう一人だけになってしまったが、その人(Sさん)は半分は社員みたいなもので、しかも当社にとっては黄金期を築いた功労者の一人でもある

 



我々社員で会社をつぶしてしまおうとなると、実は俺自身Sさんに色々とお世話になった想いがあるから、そんな裏切り行為に対しては精神的な苦痛を感じる訳だが…

 

Sさんに対する批判はいろいろあるようだし、俺もないわけではないのだが、それとこれとは別である

甘いといわれてしまえばそれまでで、役員としての役割を果たしてもらわなければならないのは当然な事ではある

しかしそんな大先輩に対して今後顔向けできなくなる様な事は、できればしないで済ませられたらと願わずにはいられない 

 

 

  

 

最後に逆恨み混じりにひとつ

前にも書いたC社の本部長が先日来社した時のこと 

以前来た時は紳士的で物腰の柔らかな印象だったが、もうほとんど闇金の取り立て屋みたいな態度だったそうだ(俺はその時いなかった)

業界ではかなりの大手なんだけどね…

それだけ腹を立てているって事なんだろうけども

社長に対してだけならともかく、一般社員にまでそんな態度だったらしい

やっぱり所詮そんな会社なんだな