俺の乏しい映画経験の中で、最も印象に残っている映画といえば『ノストラダムスの大予言』だ
小学生の頃、学校から鑑賞無料券を貰ったので、友達と二人で観に行ったのだった
それは小4の時だと思っていたが、調べてみると1974年の映画だから、小3だったという事になる…そうだったかな
まあいずれ、この映画、最も印象に残ってると言うか何というか、兎に角、俺の心に少なくとも数年間は無くそうと思っても無くならない、トラウマとでも呼びたくなる程の暗黒を植え付けられたのだ
内容は、世界各地で異常気象発生の末に地球が滅びてしまう、というもので、ノストラダムスの予言をご存知の方にはわざわざ説明するほどのものではなかろうが、一応ね
ところで俺はその時以来この映画は観ていないので、ストーリーの細かなところや出演者などはほとんど覚えていない
そして確認しようにもDVDなど出ておらず、それどころか今日まで日本ではソフト化されていないようなのだ
その理由というのが、内容に差別的表現を多く含むからという事だが、主には放射能汚染による影響の描写が、各種団体の抗議により削除・修正を余儀なくされたからだそうだ(それで思い出されるのは「ウルトラセブン」、幻の第12話)
なお、ここまでの情報は天野ミチヒロ『放送禁止映像大全』とWiki他ネット情報によっている
さて、現在でも俺が記憶している場面はわずかなもので、映画中盤の、調査隊らしき人達が洞窟で多くのミイラ化した死体を発見するところと、映画終わり間際の、どんな理由によるものかは不明ながら、黄緑色に変わった空に地上の景色が鏡のように映るところくらいか(由美かおるが砂漠で踊るシーンがあるらしいけど、それも全く記憶になし)
ノストラダムスの予言の予備知識を持っていた小学生の俺に対して、この映画がどれほどの恐怖をもたらしたかは、容易に想像していただけるかと思う
何しろノストラダムスの予言は「百発百中」なのだから
同時上映されていた実写版の『ルパン三世』は愉快なオチャラケ映画だったのだが、大予言のショックが大きくて全く楽しめなかったくらいだ
俺はこの映画で、夜中に目が覚めて眠れなくなったりしたので、ひとりで寝ることが出来なくなり、しばらくは両親のもとで眠るようになったのだ
それからというもの、いつもより月が大きく見える夜などには、地球滅亡を想像して胸が押しつぶされそうになったものだった
ところでこの映画、その年の興行収入第2位だったそうだが、テーマが三流っぽいし、実際ネットにもトンデモ以上の評価はないし、そんなにヒットしたとは思えないけども…
前年の『日本沈没』のヒットで、パニック映画が求められていたのだろうか
それとも俺みたいにタダ券で観た人(児童)が多かったのか
そもそも、どうして学校で券をくれたかというと、旧文部省推薦映画だったからなのだ
それが一番の謎とも言える
またその頃のテレビでは、UFO、雪男、ツチノコ、ユリ・ゲラーなどのオカルトというか超科学というかその手の番組の人気が高かったし、更に言えば以前からのウルトラマンや仮面ライダーやマジンガーZなどヒーロー物の人気とも影響し合っているのではないかと想像する
映画は五島勉の『ノストラダムスの大予言』が原作といえば原作で、この本はその後も売れ続けたように記憶する
というのも俺は読んだ事はないが、結構本屋で見かけたものだし、中学校で読んでるやつも何人かいたから
しかし意外にもノストラダムス・ブームは、主に日本だけだったとの事で、諸外国では皆無ではないにしろ、あまり騒ぎにはならなかったそうだが、どうなのか…
ノストラダムス・ブームはその後の日本社会にも影響を与えたとする人もいて、なるほどとは思うが、それはまた別の話
(敬称略)