ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

坂本龍一と Miles Davis "Quiet Nights"

マイルス・デイヴィスギル・エヴァンスと共作した Quiet Nights (1962) が500円だったので購入した

 

有名なジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスなんて人がいるので紛らわしいが、ギルの方も同じくピアニストで、また兼アレンジャーである(実はなんと、ビル・エヴァンスという同姓同名のサックス・プレーヤーまでいるから、ますます紛らわしい)

 

マイルス・デイヴィスとの共作はそれまでもいくつかある

 

Miles Ahead (1957)

Porgy and Beth (1958)

Sketches of Spain (1960)

 

これらはいずれもビッグ・バンド・アレンジで、マイルス・デイヴィスが本来やっているタイプのものとは毛色が違う

本来は5人編成位のシンプルな構成で、ヒリヒリするような格好いい演奏なのだが、こちらはスタンダード曲などを演奏するカヴァー・アルバムであり、カッコいいというよりはお洒落な感じとでも言おうか、そんな仕上がりである

 

 

ところで、この『クワイエット〜』だが、ジャズファン、マイルスファンの間では評判がよろしくない(ようだ)

俺のような初心者には、例えば『マイルス・アヘッド』辺りとの優劣はよく分からないところだが、なんでもこの『クワイエット〜』はリハーサル音源が、両者の許可なく勝手にリリースされたものらしいのだ

しかし、そんな事情を知らなければ特に演奏にミスがあるとか、途中で途切れるとかもないので問題なく聴ける訳なので…

 

Quiet Nights

 ジャケットもなんだか「薄い」と感じるのは先入観だろうか

 

 

いや、そんな事はどうでもいい

当事者でもない俺には「へえ」で終わる話だ

そんな事より今回問題としたいのは、このアルバム、我が敬愛する坂本龍一先生ご推薦なのだ

 

ある雑誌で、1991年における坂本先生ご推薦のジャズ・アルバムの1枚としてあげられていた

まずは、以下のそのリストをご覧いただきたい

 

 

コルトレーンは何故いないのか、とかセロニアス・モンクはどうなのか、とかいう疑問について考えるつもりはない

数あるマイルス作品の中から、ギル・エヴァンスとのコラボが3枚中2枚をしめ、しかもその1枚が悪名高い『クワイエット〜』だというのがここでの問題だ

 

 

ちなみに同じギル・エヴァンスとのコラボだとはいえ、『スケッチ〜』と『クワイエット〜』は感触が随分と違う

『スケッチ〜』は緊張感ピリピリで、異色作ながらもマイルス・デイヴィスらしいアルバムだが、『クワイエット〜』はお洒落なBGMって感じが強い…かな

 

そこで目を転じて他のリストを見てみると、ビル・エヴァンスでも『ワルツ・フォー・デビー』辺りの典型的ピアノ・ジャズではなく、何故か『シンフォニー・オーケストラ』というクラシックや自作曲をクラウス・オガーマンがオーケストラ・アレンジしたアルバムを推薦している

 

ひょっとしてこれらのチョイスを、坂本はアレンジャーという観点からの関心で推薦したのかもしれない

編曲家としてのギル・エヴァンスとクラウス・オガーマンが好きで、そこに目を向けさせたかったのだとも考えられる

 

とすれば、原曲をどのように調理するのかというのが関心の的になってくるので、リハーサル音源かどうかは問題でなくなる訳だ

あるいは、ただ単に、ここで取り上げられている曲とアレンジが好きだったのかもしれない

 

結局『クワイエット〜』の成り立ちを知ってしまった俺が勝手に悩んでいたのだ、と考えておいた方がよさそうだ

 

 

坂本龍一は『音楽は自由にする』で、好きなジャズ・ミュージシャンとして挙げているのは、ジョン・コルトレーンセロニアス・モンクエリック・ドルフィーの3人

高校時代に一番好きだったのはコルトレーンだったそうだ

 

(敬称略)