ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

我が家の歴史について

我が家は由緒ある家系ではないので、ご先祖自慢の話などは無い

そんな立派なご先祖様などいないし、苗字帯刀を許されたような階級でもなかった
ただ、どの家にもささやかな歴史がある筈で、我が家だって例外ではないという事だ
 
NHKに『ファミリー・ヒストリー』という、著名人の家系を遡って調べていく番組がある
先日の坂本龍一の回を観たが、もし坂本龍一が今のような栄光を手にしていなければ、それは単なる坂本家の歴史だった訳だ
 
 
実家に帰った際、父と酒を飲んでいると、我が家の昔話が出てくる時がある
 
家庭を捨てて相撲取りになった何代か前の先祖の話
その息子兄弟2人が父親を訪ねて行く話
そしてその兄弟がその後に商売を始める話、などなど
 
他所の家の人にはつまらない話だろうが、俺にはなかなかに面白いエピソードばかりだ
全く何だという家系ではない我が家も、連綿と続いてきて今があるのだなと感慨深い気持ちになる
 
 

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父の話を聞いているこちらは酒が入っているし、細かな部分はあやふやな記憶しかない
だから父にはぜひ簡単なものでいいから、文章で残しておいてくれとお願いしている
そうすれば俺も息子に我が家の歴史を詳しく伝える事ができるではないか
 
 
父は昭和一桁の生まれで、当時の貧しい田舎では高校に進学する者すら少なかった時代に、国立大学を卒業して県職員となり、エリートという訳じゃないが、まあ結構な程度には出世もした人だ
おまけに柔道の有段者で腕っぷしも強く、俺のような半端者はあらゆる面でとても敵いっこない
 
先日、父が膝の手術で入院したので見舞いに行って来たが、術後の痛み止め薬の副作用で口内炎ができ、食べ物ばかりか水さえも喉を通らないような状態で大分衰弱していた
あんなにまで弱った父の姿を見るのは初めてで、かなり深いショックを受けた
 
 
実家は俺が現在住む家から約50キロほど離れたところにある
高校を卒業して家を出たが結局家に戻らず終い、弟は地元に残っているが、実家ではない別のところに所帯を持ったため、今実家は老いた父と母と猫だけが暮らしている
 
今年の冬に実家に帰った際初めて気づいたのだが、仏間にストーブをつけた時の部屋の匂いが、昔の建て直す前の実家の匂いだったのでとても懐かしい気持ちになった
でも新築されているにもかかわらず、匂いが30年以上前の昔の家のままというのはどういう事なのだろう
 
味噌や漬物はその家々に住む酵母によって味に微妙な違いが生ずるというが、そんな昔からの酵母とかバクテリアとかそんな何かが仏壇などに付着していて、昔のまま今でもずっと受け継がれているという事なのかもしれない
 
(敬称略)