ぱらの通信

思い付きと思い込みの重い雑感集

田川建三健在

新約聖書学者である田川建三のホームページが2年程更新がなく、気に掛かっていた
新約聖書全訳に取り掛かっている中、あとは「ヨハネの黙示録」の巻を残すのみになっていたので、尚更
でも、遂に全訳刊行の運びとなり、ホームページもやっと更新された

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聖書に関心を持った時期があった
いつもはそんなマイブームは一過性のもので終わってしまうのだが、その時はかなり続いて、旧約新約どちらも一応は通読し、また聖書関係の書籍もいろいろ読んだ
ものだ

 

高卒で無学な俺が、クリスチャンでもないのに、聖書に関する本をあれこれ読み進めることができたのは、田川建三熱い文章に触れたからだろうし、またそれまでは、学者なんてのは勉強だけしてりゃいんだから呑気なもんだよな、なんて思っていたのに、学問に対する尊敬の念が少し芽生えたのも氏のお陰だった様な気がする

それだけでなく、俺ももっと勉強していればな、なんて事まで思ったくらいだった

 

初めて田川建三の著作を読んだのは『原始キリスト教史の一断面』
きっかけは柄谷行人の書評であった
マルコ福音書が執筆された背景について書かれた、その田川の著作に触れて、今ではイエスの時代がかなり明瞭にわかる様になってきている、みたいな事が書かれてあったからで、それまで俺はイエスの存在に対して懐疑的だったから、なんだかその歴史的というところに興味が湧いたのが始まりだった

現在も俺はクリスチャンではないが、イエスという男はおそらく確かに存在したのだろうと、今では思っている

原始キリスト教史の一断面―福音書文学の成立

原始キリスト教史の一断面―福音書文学の成立

 
書物としての新約聖書

書物としての新約聖書

 

 

さて田川建三だが、結構クセの強い人である 

さっき熱い文章と書いたが、クセが強いので、びっくりしてしまう人も多いかもしれない 

はっきり言うと非常に攻撃的なのだ、時には引いちゃうくらいに

しかしそれは学問への誠実さの表れではないかと思う…

まあ、我々のような門外漢がとやかく言う問題ではないかもしれない

 

そんな独特の文体であるが、前掲書のほか『イエスと言う男』や『書物としての新約聖書』は大変に刺激的で、楽しんで読める内容でもある

現在八十二歳のご高齢なので、自身で書くと宣言している新約聖書の概説書である、仮題『事実としての新約聖書は無事完成するのかどうか心配なところもあるが、期待して待ちたいと思う

 

敬称略)